お盆と盆踊りの時季についてのこのような整理を踏まえて、「なぜ盆踊りはお盆に踊るのか」という理由をあらためて考えてみましょう。
日本人にとって、夏は異界・他界との交流が盛んになる季節と考えられてきました※1。夏のピークであるとともに、秋への季節の変わり目である「お盆」は、さまざまな霊的存在=「精霊」(しょうりょう)が去来する時季であったのです。また、正月と七月を一年の前半と後半の節目とし、それぞれ先祖の霊が訪れる魂祭り(たままつり)の時季とする考え方も、古くからありました。
盆に訪れるとされる「精霊」の種類としては、@イエやムラの先祖の霊※2、 A新盆の霊(新精霊)※3 、B無縁仏や餓鬼などの不成仏霊、の3つに分けて考えるのが一般的です。そして盆踊りは、これらの精霊の供養や鎮送とかかわる芸能と考えられるのです。
それぞれの精霊のタイプとの関係でいえば、@「お盆にはなつかしい祖先や身内の霊が戻って来るので、これを歓待するために踊る」A「まだ不安定な新盆の霊はしっかりと踊りで鎮魂する」B「望ましくない悪霊などは踊りで追い払う」、といった考え方になります。実際に踊り子に意識されているかどうかは別として、各地の盆踊りにはこうした考え方が単独で、あるいは重層して見受けられるようです。
こうした宗教民俗的な理由が、お盆に盆踊りを踊る文化の底流にあるものと考えられます。
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※1 夏は昔から怪談・肝だめしのシーズンですね。ちなみに昭和32年夏のお盆映画のラインナップはこんな感じでした。

※2 民俗学者柳田国男が 特に注目した。ただし、祖霊崇拝が庶民階級の「イエ」のレベルで広まるのは江戸時代以降と考えられます。
※3 さまざまな盆行事の中でもっとも重視されている対象は、この新精霊です。
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