~中世の踊り念仏の残響が聞こえる踊り~

和  讃  : 一遍上人
歌詞監修 : 白石 征
作   曲 : J.A.シーザー 
振   付 : 榊 まい
う    た : 富田 房枝
演奏時間 :4分10秒

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◆解説
創作部会で最初に踊り創作のトライアルを開始したのが、この念仏踊り。
コンセプトは”中世踊念仏風盆踊り”。です。一遍上人の歌詞に取材し、当時の踊り念仏における鎮魂の情念を歌い上げた踊りになっています。
舞台演出にもこだわった「鑑賞型」の盆踊りです。

かつて白石氏の演出する舞台 遊行かぶき「一遍聖絵」で使われたJ.A.シーザー氏作曲による和讃を原曲として、新たに作曲されました。現代風の曲ですが、表現しているのは中世の踊り念仏の精神です。
いでたちにもこだわりました。いろいろな試行錯誤の後、盆踊りにおけるあの世の存在を示す「被り物」の伝統を受け継いだ「頭巾」を被って踊っています。

◆歌詞



















一、 ナモウダナモウダ ナンマイダ
六道輪廻のあいだには
伴う人も なかりけり
独り生まれて 独り死す
生死(しょうじ)の道こそ 悲しけれ
二、 ナモウダナモウダ ナンマイダ
千秋万歳 おくれども
ただ雷(いなづま)の あいだなり
つながぬ月日は 過ぎゆけば
死の期(ご)きたるは 程もなし
三、 ナモウダナモウダナンマイダ
露の命も あるほどぞ
瑶(たま)の台(うてな)も みがくべき
ひとたび無常の風ふけば
花のすがたも 散り果てぬ
四、 竜女は仏になりにける
などかかれらも ならざらむ
五障の雲こそ 厚くとも
仏の慈悲は 限りなし
ナモウダナモウダ ナンマイダ


(歌詞解説)

形式は7・5調4句の中世和讃調。
出典は「一遍上人語録」の中の「百利口語」(ひゃくりくご)という和讃で、全体は192句におよぶ長大なものですが、中世和讃の最高傑作のひとつとされています。この百利口語の冒頭にあるのが、有名なこの4句です。

梅谷繁樹氏「一遍の語録を読む」(NHK出版)によると、この詩の意味は

往生もかなわず、六道、つまり天・人・地獄・餓鬼・畜生・修羅の苦の世界を生まれかわり、死にかわりしている間は、友、連れになる人はない。
人は、一人で生まれてきて、一人で死んでゆくものである。
このような、人(あるいは、命あるもの)の生き死にの道理を知ると、まことに悲しいものである。

といったもので、「往生を果たせないものたちの孤独の深い悲しみの淵をのぞき込むような気配があります」と解説しています。この一遍上人の代表的な和讃を、創作盆踊りの歌詞に採用しました。

また、途中挿入されている合いの手「ナモウダ、ナモウダ、ナンマイダ」は、原和讃にはないものですが、、庶民の念仏芸能でしばしば歌われる「歌う念仏」の代表的な文句を取り入れたものです。