中世のムラで中世の盆踊りに出会う、時空を超えた旅がしてみたい。
そんな思いをカタチにしてみたのが、この「歴史の中の盆踊り」の企画です。

旅の舞台は大阪府・泉佐野市。ここは、かつて中世の頃に「日根荘(ひねのしょう)」と呼ばれる荘園=中世のムラが広がっていた地域です。現在も中世さながらの美しい景観や環境が残り、貴重な荘園遺跡に触れることができる、国内でも屈指の歴史空間なのです。

今回ガイドとして大活躍してくれたのが、関白・九条政基(まさもと)公。荘園領主として戦国時代初期の日根荘に下向し、数年間にわたって中世のムラの生活を詳細に日記に書きとめてくれました。七月のお盆の項には、彼が目の当たりにした村人たちの盆踊りの様子があざやかに描かれています。

私たちがまず訪れたのが、”日本唯一の荘園博物館”である「歴史館いずみさの」です。中世の荘園を綿密に再現したジオラマが見事です。事務所で「野外博物館『日根荘遺跡』ウォーキングマップ」をゲット。さっそくマップ片手にタクシーに乗りこみました。

当時政基公が滞在していたのは、泉佐野市でも内陸の山あいにある「入山田(いりやまだ)」地域。私たちのタクシーも山越え谷越え、和泉丘陵のふところ深く進んでいきます。小さな峠を抜けたその瞬間、風の流れと時間の流れが変わりました。どうやら、中世の入山田に入りこめたようです。

盆地の中心部に降り立つと、いまは青田となった一角に「史跡日根荘遺跡長福寺跡」の石碑を発見。長福寺は政基公の居所となった建物です。発掘調査報告書の地図を開き、お堂の庭にあたる地点を特定します。政基公は、ここで村人たちの繰り広げる「風流念仏」を観賞したのでした。瞼を閉じて思いを馳せれば、お盆の夜にかがり火を焚いて踊りに興ずる中世の村人たちの姿が浮かんできます。

車に戻り、入り組んだ細い坂道を苦労して登り詰めると、西光寺という古いお堂につきました。村々が一望できるすばらしいロケーション。谷々にこだまする、ヒグラシの大合唱。政基公も中世のムラの人たちも、きっとこのヒグラシの声を聞いていたにちがいありません。

「マップ」に記された中世の遺跡を夢中になってたどるうちに、いつしか世界は溶けるような夕闇の中へ。宿につく頃には、さすがに一同ぐったりです。つきあわされたタクシーの運転手さんも「いやホント、参りましたワ」と一言残して、現代と中世のあわいの中を街へ戻っていきました。ホント、おつかれさまでした。

  開催情報
日程
場所 大阪府泉佐野市大木
アクセス
(公共交通)
南海電鉄泉佐野駅より車で20分程度
JR日根野駅から車で10分程度
 
 
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歴史の中の盆踊り