宵明かりも薄れゆく午後7時、いわき平駅前。
Kさんご夫婦のクルマが、わたしたちをピックアップしてくれました。
「ナマのぢゃんがらを見たい」というわたしたちの願いに応えて、ガイド役を買って出てくれたKさんは、いわき市で観光のお仕事に就かれています。

そしてはじまったのは…予想だにせぬ、アクション仕立ての “ぢゃんがら追跡劇 “でした。
夜のいわきを飛ばすクルマの中、しきりに携帯をかける助手席のKさん。お目当てのぢゃんがらグループは、どうやらわたしたちの想像を超えてダイナミックに動きまわっているようです。
「いま、どのへん? …わかった。じゃあ○○に先回りするね!」

グループの現在位置を確認しつつ、徐々にその距離を縮めていきます。

事前にいくらべてもぢゃんがらの開催情報が見つからなかったのですが、そのはずです。新盆の家々をめぐるぢゃんがらは、踊りの場所も時間も決まっておらず、”開催情報”などハナから存在していなかったのです。しかも、各集落のぢゃんがらは、地元はもちろんいわき平一帯へ盛んに遠征します。わたしたちのクルマも、途中幾組かのぢゃんがらとすれ違いました。

必死の追跡が功を奏し、1時間ほどして無事合流に成功。そのまま次の新盆宅に向かいます。Kさんのご案内なしには、わたしたちは広大ないわき平でただ途方に暮れるほかなかったでしょう。

新盆宅脇にしたぢゃんがらの一行は、「道行囃子」を奏でつつ庭先に招き入れられました。居間のご家族と仏様に挨拶し、念仏が始まります。激しく飛び跳ねつつ、力強く叩く太鼓・鉦。真剣な表情で踊る若者たちの顔には、すぐに汗が浮かんできました。

中休みにはお酒やスイカの振舞を受け、ぢゃんがらのメンバーもご家族としばし談笑。居間の盆棚で供養を受ける新精霊も、かつて若かりし頃はやはりこうして「ぢゃんがら」で先輩方を送ってきたのでしょう。遠いむかしから、いわきの人々はこうして互いに送り、送られる「環」をつないできたのです。

最後の一踊りを手向ける、ぢゃんがらの若者たち。
ことしの夏もまた、来年にむけてその環をつなぐことができたみたいです。

※東日本大震災で被災をされた皆様に心よりお見舞いを申し上げます。盆踊り来訪時にひとかたならぬお世話になった地域の方々、心がかりでなりません。ご生活の安定をお祈りするとともに、幾ばくかでもお役にたちたいと考えております。

開催情報
日程 8月13日~15日
場所 福島県いわき市一帯
アクセス
(公共交通)
JR常磐線
いわき駅